SEのジレンマ:中途採用SE編
◆再出発をしたSEが抱えるジレンマ
最近の、SEの業界は一昔前の状況からは
想像できない程の人不足にあるようです。
それを裏付けるかのように、
SEの中途採用の募集には、
「未経験者可」、「年齢制限なし」の
文字がよく見受けられるようになりました。
ひと昔前と比べれば、
ずっと転職のハードルが下がりました。
わたしは、これまで
現場のリーダーや管理職の立場から
新しい現場で再出発をする
SEをたくさん見てきました。
そして、そんなSEたちが、
再スタートを切った時に描いていた想像と
その後に直面する現実との
ギャップに苦しむ姿も多く見てきました。
◆中途採用SEが直面する2つのギャップ
「あれ?こんなはずじゃなかったのに」
慣れないうちはしょうがないと思っていても
ある程度、時間が経過しても何も変わらない
むしろ、なんか状態は悪くなっていく?
こんなふうに感じてしまう原因に
中途採用のSEが、新たな会社や現場で
直面する2つのギャップがあります。
◯1つ目のギャップ
「配属された現場や仕事の内容」
採用面接で多少の話は聞けたとしても
そこで会社や現場の全てを把握する事は
当然できません。
そして、実際に会社に入ってから、
聞いていなかった様々な現状を
知ることになります。
もちろん、中には聞いていたよりも
ずっと良いと感じることもありますが、
中には、「え~~!こんな感じなの!」なんて
驚きの問題を聞かされる事もあります。
また進行中の仕事の状況から
聞いていた内容と全く違う仕事が回ってくる
なんて事も、当然起こりうる話です。
現場のリーダーや、上司からちゃんと説明を
聞かされていれば、
そういったギャップもさほど違和感なく
受け入れられるかもしれませんが、
何の説明もないまま、
現状だけを突きつけられてしまうと、
中途採用のSEにとっては、
もう、とまどいしかありません。
「だいじょうぶかな・・ここで・・」
と考えるようになってしまいます。
◆2つ目のギャップ
「思うように発揮できない能力と経験」
新しいやり方、新しい仲間、
様々な「新しい」に慣れたとしても、
やっぱり、最初のイメージとなんか違う。
前の会社ではもっと出来たのに・・・
これまでの経験を考えれば
もっとうまくできるはずなのに・・・
このギャップの大本となっているのは、
転職活動の際に、自分で改めて整理した
これまでのキャリア、職務経歴だったりします。
転職活動中は、自分自身がどれだけ
価値のある経験をしてきて、
それによって、どんな能力を持っているかを
アピールしなければなりません。
それまで自身の経験を否定的に見てきたSEも
職務経歴書を作るうえでは、
とりあえずでも経験できた事、
なんだかんだでやり遂げた事にフォーカスします。
そういった自分の良い経験や成果に対して
フォーカスすること自体は悪いことでは
ありません。
しかし、経験や今の能力が新しい現場でも
そのまま発揮できると思い込んでしまうと、
その瞬間から、
「なぜかうまくいかない」ギャップとの
戦いが始まってしまいます。
自分はもっとできるはず。
もっとやれるはずなのに・・・
◆手は抜かない、でもうまくやろうとも思わない
自分はもっとうまくやれるはず、
でも、なぜか出来ない・・・
原因は?
もっと、こんな内容の仕事があれば・・
もっと、こんな資料や手順書があれば・・
もっと、こんな風に指示を出してくれれば・・
こんな風に考えだしてしまうと、
いくらでも原因と思えるものは見つかります。
そして、
うまくいかない現状と、自分の持つイメージとの
ギャップはいつまで経っても無くなりません。
これからは、
どんな仕事でも出来るようになろう
資料や手順書が無くてもやれるようになろう
指示なんかなくても一人でやれるようになろう
こんな風に、外に原因を探すのではなく、
自分自身を変えていくように考えられると
良いのですが、
これでうまくいくのであれば、
最初からそんなに大きな悩みにはなりません。
じゃあ、どうすれば良いのか?
最初から、うまくやろうなんて思わない。
最初から、成功させようなんて思わない。
最初から、評価を得ようなんて思わない。
適当にいい加減な気持ちで、
仕事をしようと言っているのではありません。
手は抜かない、精一杯やる。これは大前提。
でも、あるのはこの大前提のひとつだけ。
あとは、
結果的にうまくいかなくても
思ったような評価を得られなくても
そこは気にしない。
仕事がうまくいかなくても、
「自分は手を抜かなかった」
こんな風に思えれば、今はOK。
悩みの種そのものが無くなって、
次の仕事にもまた前向きな気持ちで
やっていけるようになります。
もしも、仕事でうまくいかないなぁと
悩み始めたら、
「手は抜かない、
でも、うまくやろうとも思わない」
こんな風に考えて、
日々の仕事に取り組んでみると、
目の前の状況が少しずつ変わっていくはずです。