SEの仕事術:議事録が書けると
◆SEにとっての「議事録」とは
SEは現場や客先で
さまざまな打ち合わせに参加します。
そこで、打ち合わせによっては
必要になるのが「議事録」です。
先日、あるSEの方とお話した時に
議事録を書くことは、
いろんな面でとても良い経験となり
SEの成長につながると仰っていました。
わたしも、まったく同感です。
議事録を書くことは、
文章力をつけるだけでなく、
聴き取る力、知識の整理など、
さまざまなスキル向上に効果があります。
わたしは以前、顧客側の担当者から、
議事録がとてもわかりやすいと
お褒めの言葉をいただいた事が
あります。
それから、書いて整理することが好きになり
仕事全体がはかどるようになりました。
という訳で、前置きが長くなりましたが、
今回は、わかりやすい議事録についてです。
わかりやすい議事録を書くための
コツが2つあります。
◆ 1つめのコツ:会話形式で書かない
たまに目にする議事録に以下のような
会話形式になっているものがあります。
◯◯さん:□□の件はどうなりましたか?
△△さん:現在、××を対応中です。
◯◯さん:承知しました。
これは、1行だけ、□□は××を対応中。
とあれば良く、その前後の
◯◯さんの「どうなりましたか?」
「承知しました」は無駄です。
よく内容がわからない人が議事録係を
まかされると、こんなふうになりがちです。
「どうなった?」「了解した」という流れがないと
何がきっかけで、どう帰結したのかが
はっきりしない印象を持つかもしれません。
しかし、SEが書く議事録は
結論さえ明確になっていればよく
むしろ、結論の部分が際立っている方が
わかりやすい議事録と言えます。
また、「誰がそれを言ったか?」を
明確にしておきたいという考えもあるかも
しれませんが、
重要なのは、誰がそれを言ったのかよりも
誰がその結論に対して影響を受けるのか
を明確にすることです。
誰がやるのか、その事柄に誰が影響を受けるのか
打ち合わせ後の、議事録の回覧で
関係者にしっかりと認識してもらいましょう。
◆ 2つめのコツ:なにがどうなる、誰がどうする
1つ目のコツは、「会話形式で書かない」でした。
では、内容については、
どのように書けば良いのか?
これが2つめのコツ
「議事録上の文章は、
「何がどうなる」「誰がどうする」を意識する」
です。
よく仕事の報告・連絡をする際は、
「結論から述べる」と言いますが、
議事録も同様です。
議事録は、その打ち合わせでの
「結論」が明確になっている事が全てです。
そして、大抵の打ち合わせは、
最後には、「何がどうなる」「誰がどうする」
といったところに帰結します。
なので、議事録担当者は、その打ち合わせで
話している内容をただ聞いているのではなく、
結論として、
何がどうなったのか(どうなるのか)、
誰がどうしたのか(どうするのか)、
を聴き取るために
注意を払う必要があります。
また、ここでこの結論を文章にする際にも
ひとつポイントがあります。
それは、「何」と「どうなる」の間に、
理由や経緯を書かないという事です。
たとえば、
予定していたある作業が中止になった
その背景には、
◯◯さんが、ユーザーに仕様の不明点を確認し
その内容から、余計な設計をしていた事が
わかったためというものでした。
「予定していた作業は、
◯◯さんが、ユーザーに仕様の不明点を確認し
その内容から、余計な設計をしていた事が
わかったので、中止になりました」
どうでしょうか?
「予定していた作業」と「中止」の間に
多くの情報があります。
◯◯さんが、ユーザーに仕様の不明点を確認した
予定な設計をしていたことがわかった
一文にまとめてしまうことで、
肝心の「作業が中止になった」ということが、
目立たなくなってしまいます。
また、この経緯や理由の中にも
何がどうなる(何がどうなったから)
誰がどうする(誰がどうしたから)
があります。
一文を長くすればするほど、
どれとどれが繋がるのか
わかりにくくなってしまいます。
そんな訳で、一文の中に理由や経緯を
書きたくなってもここは意識的にがまんします。
理由や経緯を書きたい場合は、
何がどうなる・誰がどうするの後に書きます。
どうしても、間に入れたいときは、
そこが理由・経緯を指しているとわかるように
括弧()で括るとよいです。
◆ 議事録がうまく書けるようになると
今回、議事録をうまく書くコツについて
書きましたが、
議事録をうまく書く条件というのもあります。
それは、その話し合いの内容が理解できる
ある程度の知識を有しているという事です。
つまり、良い議事録が書けるという事は、
話し合いに関する知識を有し、
その中でポイントが、何かを理解し、
それをわかりやすくまとめられる、
という事です。
そして、そんな議事録が書けるようになると
何かを説明するとき、考えをまとめるとき、
いろんな場面で、そのスキルは活かされます。
これから、議事録担当になることがあれば
めんどうな役回りが来たなどと思わず、
今回の二つのコツを意識して
議事録づくりにチャレンジしてみてください。
議事録作成スキルだけじゃなく
仕事全体の効率や質があがっていきますよ。