新人SEの不安と対策 (後編) PMBOKのリスクマネジメント

2019.08.05 (月)

前回「新人SEの不安と対策 (前編) 4つの不安」からの続き

SEらしく、自分のSEライフ(人生)を一つにプロジェクトに見立て、

それぞれの不安をプロジェクトの失敗リスクに置き換えてみる。

そして、その不安対策をPMBOKリスクマネジメントで考えてみましょう。

 

PMBOKとは

Project Management Body of Knowledge

訳すと「プロジェクトマネジメント知識体系」

ピンボックと読みます。

システムエンジニアがプロジェクトマネジメントを行う上で、

プロジェクト開始から終わりまでで

プロジェクト管理の手法注意すべきポイントなどが、

網羅的に整理されているものです。

 

このPMBOKではプロジェクトが失敗するリスクとして

どの様なものがあるかをプロジェクト開始前に可視化して整理します。

そしてそれぞれのリスクに対して「事前に手を打つ」、

「予め問題が起きたい時の対処を決めておく」など

何らかの方針を立てることを原則としています。

これをリスクマネジメントと言います。

 

そしてその対策は

「回避」「軽減」「受容」「転嫁」

の4つに分類されます。

 

「回避」:リスクの原因となるものに近づかない、リスクを完全に消去する対策

「軽減」:実際に問題が生じるのは止む無しとし、その影響度を出来るだけ下げる対策

「転嫁」:問題が生じた時の責任や、その影響を誰かに移す対策

「受容」:事前対策は考えず、問題が起きてから対処を考える方針

 

PMBOKのリスクマネジメントを活用する

新人SEが持つ4つの不安「人間関係」「仕事内容」「自身の成長」「将来の不安」

について、PMBOKのリスクマネジメントで対策を考えてみましょう。

 

1つめ、人間関係のリスク

「回避」で対応する。

 

苦手な人や、うまが合わない人はどこにだっています。

お互いにわかりあえるのが理想的ですが、

こちらがどう頑張ったって相手側の気持ちもあります。そう簡単な話ではありません。

ここは「回避」が得策です。

この人はちょっと・・・という人がいたら、接触する機会をできるだけ減らしましょう

 

ただし、職場の上司やお客さんなど、逃げるに逃げれない状況もあります。

その場合は、他の対策で考えるしかありませんが、

どうしようもなければ会社を変えるくらいの「回避」策も時には必要です。

 

2つめ、仕事の失敗リスク

「転嫁」で対応する。

 

誤解の無いように言っておくと「転嫁」で対応するのは、

失敗を未然に防ぐためにではなく、仕事を失敗したり、周りの期待どおりに出来なかった時、

その結果からさらに悪い状態を引き起こさないようにするためです。

 

仕事がうまくいかなかった時、その責任を誰かに転嫁するなんてできるはずもないし、

自分から考える事でもないと思うかもしれません。

しかし、ここでは自分目線ではなく、会社目線で考えてみます。

SEが受ける仕事は、基本的には会社が受注している仕事です。

自分個人で責任を取ろうとする事が、そもそも間違えた発想です。

これは個人戦ではなく団体戦であることを意識する必要があります。

 

もしも「なんかこのままではやばいかも?」とか思ったら、

自分より上の立場の人にその事を伝えましよう。

それがうまくいかなかった際に対策をすべき人、それを伝えた相手に転嫁します。

ここで一つポイントとしたいのは、

仕事の大変さを伝える時に、自分の都合、気持ちだけを伝えるのはNGです。

あくまで仕事を団体戦と捉え、全体の問題の一つとして伝えましょう。

 

3つめ、スキルアップが出来ないリスク

「軽減」で対応する。

 

自分自身が停滞気味と感じ始めると、

今の状況を打開する何かを得たいと考え始めます。

そして周りの状況が変わる見込みはないとなれば、

自分自身が状況を打開する何らかの力をつけないといけません。

 

しかし、ここで心理的にありがちなのが、

どうせ何かを始めるなら、無駄な事はしたくない、失敗をしたくない

だから万全な状態で始めたい。

そんな理由から、とりあえず先送りにしようとする感情が湧いてきます。

結果、何も状況は変わらないまま時間だけが過ぎ、

気がついたら、さらにひどい停滞感を受ける様になっています。

 

ここでの一番の問題は、

不安は解消しない&時間も浪費するというタブルパンチの状態です。

この状態には陥らないように、少しでもこの問題を「軽減」させましょう。

実際の対策としては、とにかく何かに手をつけてみることです。

 

一つ具体的なオススメの策は、気分転換で本屋に行く習慣をつけることです。

本屋に行ったら、自分が必要だと思っているスキルに関する本を眺めてみる、

これは興味ある分野で、しかもわかりやすい本だなと感じたら購入。

 

ここでポイントは、購入した本を今すぐ読める状況かどうかは考えない、

また内容としてはレベルの高い本ではなく

最低限のリテラシーをインプットできるような本を買っておくと良いです。

ここでの狙いは、最初の一歩のハードルを出来るだけ下げておくことなので、

ここで完璧を求めてはいけません。

 

4つめ、将来の不安のリスク

「受容」で対応する。

 

「受容」とは、そのリスクがあることは受け入れ、何か問題が起きてから考えるというものです。

今の時代、どんなに調子の良い会社でも何がきっかけで傾くかわかりません。

また、それとは逆に1020年前であれば、転職するとしたら若いうちにというのが常識でしたが、

今はどこも人材不足で40代以上の人でも、転職先が十分に見つかるようになりました。

今は良くも悪くも先が読めない時代です。

 

10年後を予測して何か行動したとしても、必ずしも功を奏するとは限らないという事です。

現状に見切りをつけて動き出すのも、留まって様子を見るのも、誰にも正解はわかりません。

自分自身で考えた結果や、直感的に思ったことに従うしかありません。

ただし、予想できないからといって、全く何もせずに会社をクビになってから行動しましょうでは、

さすがに無策が過ぎるので、せめて情報取集だけは行いましょう。

 

具体的には、転職サイトに登録し定期的にエージェントと話してみるとかです。

決して、転職が前提になくても転職エージェントは話を聞いてくれます。

そして何かきっかけとなるものが目の前に現れた時、

行動を開始すれば良いと思います。

 

◆  まとめ  

プロジェクト推進では、問題化したらそのプロジェクトの失敗を

決定づけてしまうようなリスクが沢山あります。

そしてそのリスクに対して何の手も打たなければ、

問題が起きた時には既に手遅れです。

 

これが会社のプロジェクトならば、

最終的には上司やプロジェクトのステークホルダーが

被害を被ったり責任をとれば済むことかもしれませんが、

対象が自分自身の人生であれば、そんなわけにもいきません。

 

自分のために、自分でリスク対策を考える。

そしてその対策の考え方がわからなければ、

PMBOKというプロジェクトマネジメントの手法を

参考にして考えてみましょう。

きっと自分がこれからどう振る舞っていけば良いのか

整理がつけられるはずです。

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