その我慢が必ずしも報われるとは限らない

2019.06.11 (火)

🔷3年目若手SEが会社を辞める決断をした話

ちょっとだけ昔の話。

自分と同じチームで働いていたまだ3年目の

若手システムエンジニアが会社を辞めるという

出来事があった。

 

彼の主な役割は、

上流工程なら1人でもやりきれる小規模な案件の

設計、テストシナリオの作成、進捗管理と報告

開発ベンダーの管理。

 

正直、めちゃめちゃ優秀という程でもなかったが、

上から仕事を丸投げされている事を考えれば、

とても良く頑張っているSEだったと思う。

 

彼が辞めた一番の理由は、

この先の自分を自分自身でイメージする事が出来なかったから。

日々の仕事に追われ、

やっと一つの案件が終わったと思ったら、

また次の案件が半自動的に始まる。

 

繰り返しやっていく事で、

客先の業務知識は少しずつ身についてきたが、

果たしてこれは自分がやりたかった事か?

なりたかった自分なんだろうか?

今、自分がチームを抜けたら、

周りのみんなにも迷惑がかかる。

でも、果たしてこの繰り返しが

一体いつまで続くのだろうか?

 

こんな悶々と考える日々が重ねて。

ある日、彼は決心した。

会社を辞めて他の会社に移るという事は

誰にだってリスクがあること。

しかも、彼の転職先は同じIT系のベンダーではなく

SEですらない全く別の職種・業界だった。

いつも上からの指示を我慢して従ってきた彼とは

思えない決断だった。

 

ちょっと待ってよ!なんて感情よりも、

よくぞ決心した!と感心した気持ちの方が

何倍も大きかった事を覚えている。

 

🔷その我慢が報われるとは限らない

最近は少なくなってきたかもしれないが、

ちょっと昔だと、若手が会社を辞める時に

必ず言われる言葉があった。

 

「そんな中途半端な状態では、他に行っても通用しないぞ」

 

半分脅しのようにも聞こえる言葉。

自分は管理職の立場だった事もあるので、

この言葉を言いたくなる上司の気持ちも少しわかる

特に、会社を辞めた後の話が、あまりにも無計画と

感じた時は、この言葉をとても言いたくなった。

もしかして、何度か言ったかもしれない。

 

しかし今思えば、この先の計画や保証よりも

自分の今の気持ちを大切にしたという事を

褒めてあげるべきだったように思う。

 

話を3年目SEだった彼に戻す。

改めて当時の彼について考えると

彼の勇気以上に、ちゃんと考えて決断した事を

褒めてあげたいと思った。

 

そもそも上司や周りが望む将来像が、

彼が望む将来像と一致するとは限らない。

いくら上司が彼の話を聞いてくれたとしても

その希望を中心に作業計画を立てる事はまずない

それ以上に、

彼の希望を汲んであげるような調整力もなければ、

権限する持っていない場合もある。

 

そう、今の我慢が将来に繋がる保証など全くない

この事実を踏まえて、この2年とちょっとの

彼自身の仕事を振り返っての判断だった。

 

🔷企業・会社はどうあるべきか?

今は「働く」という事に対する価値観が多様化し、

こうあるべき、こうでなくてはいけないという

考え方自体が少なくなってきた。

言わば何でもありになってきている。

そのため、突然、話を切り出される上司も

辞めたいという気持ち自体は否定できない。

 

しかし、そんななんでもありな時代だからこそ、

あえて、

「そんな中途半端な状態では、他に行っても通用しないぞ」

と言ってあげるような上司になってほしい。

 

この言葉を真っ向から言うためには条件がある。

それは、社員一人ひとりの将来や今後について、

これでもか!というくらい真剣に考える

社員のために時間とお金を使う事である。

 

これが出来ない会社、

そんなのは社員の自己責任だ、

会社はそこまで社員の事を考えないと

開き直る会社は、そうすればいい。

 

時代も価値観も間違いなく変化してきている。

一昔前の考え方は通用しないという事を、

自社の衰退とともに思い知ればいい。

 

社員が「この会社に出会えて良かった」と

本気で思える会社もたくさんある。

未だ輪郭すら見えないが、

新しい働き方の理想形

みんなで考えていく必要がある。

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