やる気を失っている若手SEに、上司が「期待」や「目標」を語っても逆効果
🔷 ある中堅SEの告白「あの時は・・・」
私が管理職だったころの話
自社のSEと一人ひとり個別面談をしていた時、
ある中堅SEから、若手の頃を振り返って、
実を言うとあの時は、まったくやる気が持てなかった
という話を聞いたことがありました。
彼は中堅というポジションでも、
まだ若く、これからいよいよ中心人物として
みんなを引っ張っていくという立場の人です。
その彼が、自分自身の数年前を振り返って
「昔はまったくやる気が持てなかった」と
告白したのです。
「SEという職業が自分には向いてない」
「みんなにも迷惑を掛けてしまっている」
「誰のアドバイスも耳には入らなかった」
彼が若手のころに面談していたのも自分です。
彼が本音を語ってくれたことを喜びながら、
彼の若手のころに、どんな面談したのかを
思い出していました。
🔷 普段話さないから、面談では一方的に話してしまう上司
新人・若手のSEが、最初に目指すものは、
まずは仕事に慣れること。
仕事に慣れてきたら、
チームの目標、会社の方針などを理解して
自分の振る舞いや、目指すものを
考えるようになるというのが、
とてもオーソドックスなパターンだと思います。
私も、彼が若手の頃の面談では、
会社がSEに求めているものを話したり、
彼自身に期待している事を伝えたりしました。
もちろん、彼が困っている事についても
話題にしましたが、
彼は、その時のモチベーションの問題を
私には伝えませんでした。
今思えばですが、
彼の話を聞くことよりも、
彼に伝える事ばかりに気が行っていて、
彼の本音がまったく別の所にある事に
気がついていませんでした。
🔷 まずは聴くことから始める
会社の経営方針や、チームの目標を伝えることも
大事な事ではあります。
しかし、
自分の将来に不安を感じていたり、
今の仕事に不満を抱えているSEが、
会社の経営方針や、上司の理想を
ただ一方的に聞かされても、
伝える側が期待しているような効果はなく
逆に、もっとやる気を無くしてしまったり、
反発するような事にもなりかねません。
「自分の状態や願望よりも、
まずは会社の方針や上司の考えが重要」
この考えに多くの人が染まっています。
だから、本音を言えない若手SEがいたり
伝えることしか頭にない上司がいたりするのです。
そして、私もその一人でした。
大切なのは2つ。
「個人よりも会社が優先される」という考え方は
忘れること。
これは立場に関係なく、
誰にとっても大切なことです。
そしてもう一つ。
管理職・上司・リーダーにとって大切なのは、
「まずは聴くことから始める」ということです。
「聞く」でもなく、「訊く」でもありません。
相手の気持ちに耳を傾けてあげる「聴く」です。
頭ではその大切さがわかっていても、
それまでのコミュニケーションが不足していると、
相手の話を聴くことも、本音を伝えることも、
実際にはうまくできないものです。
普段のコミュニケーションから
気をつけていきたいものです。
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